業務改善成功のカギ
業務改善をしようと思うきっかけは何でしょうか?
経費の削減のため、社員の残業が増えたから、社員が退職してしまったから、などなど、きっかけはいろいろかと思います。
どこから何をしたら良いのか分からない。そんなこともあるでしょう。
私の経験では、下記の手順が良いのではないかと思っています。
①業務改善を図るべき箇所を見つけること
改善したい業務が特定されている場合は良いのですが、漠然と「何とかしなければ」と思っていたり、問題が多すぎてどこから手を付けたら良いのか分からない。どういったことが改善なのかが分からず、改善箇所が特定できていない場合もあるでしょう。
まずは、「どこ」を決めます。
基準は、ボリュームの多い業務、社員から不平不満の多い業務、ヒューマンエラーの多い業務です。
ボリュームの多い業務は、改善が図れた時に効果が大きいからです。
社員の不平不満の多い業務は、その業務プロセスに改善の余地ありです。放置せず、早めの対応が必要です。
ヒューマンエラーを起こしやすい業務は、システムに置き換えるのに向いている業務です。電子データを手打ちで他のシステムに入力している箇所などありませんか?それは無駄な仕事です。
②業務改善を達成する手法を見つけること
箇所を特定出来たら、その解決策を決めます。
まず、業務フローを確認し、そのプロセスに無駄なところや二度手間がないか確認します。
作業の順番を変えたり、無駄なプロセスを省略するだけで解決する場合もあります。業務改善は「お金のかかること」という事ではないケースも沢山あるのです。
この時、税務上や内部統制的に必要なプロセスを省略してしまわないよう、税理士への確認もお忘れなく。
次に、システム化や外注化などでの解決策を検討します。費用対効果なども加味しながら、実行できるか否かを検討して決定します。
Ⓒ2023木村典子税理士事務所
③達成後の社内のフォーメーションを決めること
業務改善後には、改善された業務に現在従事している社員の仕事が変更になります。
また、業務改善を行うには、その現在従事している社員の協力無くしては、成功はあり得ません。
その社員の方には、改善後、従事していただく業務(今より重要な業務であることが望ましいです)を事前に明示しておけると、改善はスムーズにすすみます。
そこを曖昧にして、無理やりすすめようとすると、「自分が今後どうなるのか?」という不安を抱いてしまったり、「どうせ機械でもできる仕事を自分はしている」などのネガティブな思考になってしまったり、せっかく、働きやすい職場環境の実現が目的の一つでもあるはずの業務改善が、その目的を果たせないこととなってしまいます。
成果先ありきで、この点、なおざりにされがちですが、とても重要なことであると、思っています。
④達成までのプロセスの確認、環境を整えること
改善箇所と改善方法が概ね決まったら、プロジェクトメンバーを決め、タスクの洗い出しをし、スケジュールを引きます。
プロジェクトメンバーになった人は、日常業務に支障をきたさないよう、業務量の調整が必要です。
プロジェクトメンバーで、複数の改善案をもう一度練り直し、最適な方法を最終決定します。システム決定や、業者決定もここでします。
場合によっては、改善箇所の見直しに戻ることもあります。
改善方法の選択順位ですが、私は、オーダーメイドの外注という選択肢は最終手段と思っています。いわゆる外注業者は、多くの場合、現在の業務をそのまま引き取ってくれるだけで、その業務の引継ぎ過程で、現在の作業フローは最も最適なのか?などのジャッジやアドバイスはくれません。本当はもっと良いやり方があり、外注をお願いしなくてもできる業務かもしれないですし、外注をお願いするにしても、フローの見直しをして業務量を圧縮してから、引き取ってもらえればありがたいと思いますが、そういったアドバイザー業務はほぼないのが通常です。また、いったん手放してしまうと、その業務のやり方を見直す、ということには、よっぽどのことがない限り、至りません。それは、その業務に関して、改善の手が止まる、ということを意味します。その時点では解決策が見いだせなかった業務も、数か月後、数年後には、もっと簡単な解決策が出てくるかもしれません。何を外注しているのか?その外注業務が今でも一番正しい方法なのか?を検証する体制を社内に整えておく必要があります。手放して終わり、ではないのです。
⑤実行
環境も整い、やるべき箇所とやるべき作業が決まったら、あとは、一気に作業をすすめます。
スケジュール管理とコスト管理をお忘れなく。
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